Q 毎月、ひどい生理痛にさいなまれていて、最近は鎮痛剤も効かなくなってきました。漢方薬を試してみたいのですが、効くのでしょうか。 (25歳・女性)
A 最近は「生理のたびに憂うつになる」「痛みで動けなくなった」「仕事を休むことがある」など生理痛のつらさを訴える人が目立ちます。
このように今の時代は、生理で悩んでいる人がひと昔前よりずいぶん増えているようです。痛みに耐えきれず、鎮痛剤に頼っている人も見受けられますが、相談者のように鎮痛剤が徐々に効かなくなったという人もいます。
婦人科で検査しても特に原因が見当たらないのに月経痛がひどい場合は「月経困難症」と呼ばれています。また、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫(のうしゅ)などの病気が原因で月経痛が引き起こされている場合もあります。
ここでは原因がはっきりしない月経困難症について考えます。
月経痛の痛みがなぜ起こるのか?
漢方では、血液が滞っている状態や血液成分に関する異常を瘀血(おけつ)と呼び、骨盤内の瘀血の影響で月経痛も起こると考えます。瘀血があると、経血の色が悪くなり、サラサラではなくドロッとした血になることがあります。
漢方では、瘀血をさばく薬を駆瘀血(くおけつ)剤と呼んで、体質や症状に合わせてさまざまな薬を用います。
鎮痛剤は痛みを和らげる即効性があります。一方、漢方薬は痛みを即座に抑える効果は弱いのですが、体を内側から整え、一時しのぎではない体質改善がのぞめます。必要なら漢方薬と西洋薬を併用すればよいと思います。
西洋薬の鎮痛剤でその場の痛みを乗り切りながら、漢方薬で生理痛を起こさない体質に変えていくのです。
生理の様子を知るチャンスは月に一度。
従って、効果が分かるまで少し時間がかかることがありますが、私の経験では、特別な場合を除けば、早ければ漢方薬を飲み始めた次の生理から、遅くとも3~5カ月以内で大きな変化を実感するケースが大半です。
生理痛の改善は漢方の得意分野の一つといえるでしょう。
また、〝冷え〟も一つの原因になります。
昔の言い伝えですが、生理のときは体を冷やさないようにするために髪を洗わなかったそうです。月経痛がひどい人は、冷たいものを常飲常食しない、足腰を冷やさないなど、日常生活にも気を付けた方がよいでしょう。
主な漢方薬として、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう)、温経湯(うんけいとう)、加味逍遥散(かみしょうようさん)などがあります。専門家に相談して体に合ったものを選んでください。