水虫で、足の皮がボロボロです
Q 私はもう何十年も水虫と付き合っています。毎年夏になると、足の皮がボロボロに破れます。薬局で塗り薬を買ったこともありますが、良化せず、放置してきました。ところが今年は、物心の付いた娘が、私の足が気持ち悪いと言うのです。家族にうつしてもいけないし、漢方薬で治るものなら試してみたいと思います。ご指南ください。 (39歳・男性)
A かわいい娘さんに気持ち悪がられては、治療への重い腰も上がるというものですね。
西洋医学の水虫治療薬も日進月歩で効果を上げてきていますが、治療を中止して再発する人が多くいます。それに対して漢方薬は根本治療を目指すものです。
そこで私は、ひどい水虫の方には、即効性のある西洋医学や漢方の塗り薬と、漢方の内服薬を併用することを勧めています。
水虫が活発になるのは高温多湿な夏。正体は、白癬菌という糸状の菌糸によるもので、発生する場所は、足、手、爪(つめ)などいろいろ。その症状も、乾燥、カサつき、かゆみの激しいものや、ジクジクとしてかゆみの上に痛みまで伴うものなど、人によってさまざまです。
一度水虫になると、よほどしっかり予防、治療しないと長引き、毎年同じような症状を繰り返して慢性化してしまいます。さらに、冬場は症状が落ち着いているからといっても、完治していなければ同じことを繰り返します。
それでは、実際に使われる具体的な漢方処方をいくつか紹介しましょう。
- 消風散(しょうふうさん)
患部に湿りや分泌物があり、かさぶたを伴っていて、夏や暖かいときに悪化する場合に用います。また、かゆみの強い白癬にも適しています。 - 越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
炎症性で皮膚が赤くなり、浸出液の多い白癬に用います。 - 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
皮膚の化膿(のう)を繰り返す傾向のある水虫などの体質改善にも応用されます。 - 治頭瘡一方(ちづそういっぽう)
頭部、顔面などの白癬に用います。
このほか、乾燥性のものには、麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)、かゆみ、化膿傾向があるものには淸上防風湯(せいじょうぼうふうとう)を、また、乾燥性で冬場に悪化する白癬には当帰飲子(とうきいんし)などを用いる機会があります。
これらの選択は、専門家によく相談するとよいでしょう。
家庭内感染が心配とのことですが、足ふきマットやスリッパは共用しないこと、帰宅後は足をよく洗うこと、家の中でも靴下を履いて白癬菌の付いた皮膚の角質を落とさないようにすることを心掛けましょう。