漢方薬は全て中国で考えられたもの―と誤解している人は多いようです。
はるか昔から中国の医学と共に薬が日本に伝わり始めました。
そして、少しずつ日本独自の発達をし、江戸時代の頃から一気に日本化が進みました。
この日本独自の発達を続けてきた医学が現在の漢方です。
漢方は日本独自のものになり、日本で作られた漢方薬も少なくありません。
そのうちのいくつかを紹介しましょう。
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)は以前のコラム(4月22日号)で紹介したように、江戸時代、全身麻酔による世界初の乳癌摘出手術を成功させたことで知られる外科医・華岡青洲によって考案され、今でも皮膚症状によく使用されます。
華岡青洲は他に紫雲膏(しうんこう)や中黄膏(ちゅうおうこう)などの膏剤も作りました。
紫雲膏は、中国の明の時代の医師、陳実功(ちんじつこう)が著した書「外科正宗(げかせいそう)」に記載される潤肌膏(じゅんきこう)を基に考案されました。ひび、あかぎれ、やけど、切り傷、湿疹、皮膚炎などに使用されます。
中黄膏は、黄連膏(おうれんこう)を基に考案され、はれ物、おでき、あかぎれ、湿疹などに使用されます。特に患部が熱をもつ場合に良いとされます。
漢方薬に関する誤解は意外と多いのです。
少しでも誤解が解け、漢方の知識をきちんと知ってほしいものです。