漢方を利用してよい病気を教えて
Q おかげさまで漢方薬がよく効いています。この薬を同じ病気の人に飲ませてもよいですか。また、漢方を人に勧めたいのですが、どんな病気の人によいのですか。 (74歳、女性)
西洋医学で長引く病気には一度は漢方を
A 漢方薬は一人一人の体質と症状に適した薬を選んで飲むものです。
あなたに効いた薬を同じ病気の他の人が飲んだとき、その人に運良く合えば効くかも知れませんが、そうでなければ悪い作用が出ることがあります。
副作用がないとか効き目が穏やかなどといわれる漢方薬でも、自分用の薬は他の人が飲まない方がよく、病名だけで漢方薬を選ぶことは避けたいものです。
さて、優れた西洋医学が日々進歩を続けている現代に、なぜ漢方が重宝されることがあるのでしょうか。それは漢方が西洋医学とは全く別の医学であり、漢方薬には西洋医学の薬とは異なる効果があるからです。
しかし、意外に多くのさまざまな病気に漢方が役立つことはまだまだあまり知られていません。
今は病気になれば西洋医学の治療が基本になっているのと、漢方薬の消費は多いのですが、漢方という医学の方法論が普及していないために、漢方本来の効果を知る機会がまれだからでしょう。
では漢方はどのような病気に利用すれば良いのでしょうか。
多くの病気がありますが、次のようにもわけることができます。
①西洋医学の薬がよく効く病気
②漢方薬がよく効く病気
③どちらの薬でもよく効く病気
これらのうち、①の病気に漢方薬を使う意味がないことは言うまでもありません。
少なくとも②と③の病気で漢方薬を利用してよいのですが、②の西洋医学の薬よりも漢方薬がよく効く病気にこそ漢方の存在価値が高いということでしょう。
西洋医学で治りにくい病気が慢性病や難病になりますが、漢方の全盛時代に引き出されていた本来の効果が一般には取り戻せていないことに加えて、漢方薬の効果についての研究が難しくて進まない現状では、どんな病気に漢方を利用してよいのか分からないことがまだたくさんあります。
しかし、寿元堂薬局で漢方を利用している人には、アトピー性皮膚炎や花粉症などアレルギーの病気、神経痛や関節リウマチなど痛みの病気、自律神経失調症や不眠症など精神的な偏り、月経異常や不妊症など女性の悩みなどのほか、難病も含めてさまざまな分野の病気の人がおられます。
西洋医学で長引く病気には、一度は漢方を試してみたいものです。
病気にもよりますが、1~3カ月も試せば効果の判断ができることがほとんどです。時には驚くような即効が得られることがあるのが、漢方のだいごみでもあります。