Q 不妊外来に通っています。漢方薬は高くつくと聞きましたが、いくらくらいでしょうか。漢方薬と一緒にサプリメントも薦められることがあるようですが必要ですか。 (35歳・女性)
A 不妊の治療は、卵管がつまっているなど決定的な問題がない場合、ファーストチョイス(第一選択)として漢方薬を試してみる価値は、十分にあると思います。
費用は1カ月に1人2万円程度までが目安と考えてください。
最近は、漢方薬と合わせて高額なサプリメントを飲んでいる人もいるようですが、私はその必要性を感じません。経験上、漢方薬だけで妊娠の可能性がずいぶん高まることを実感しているからです。
ただし、漢方薬の品質が効果を大きく左右します。また、剤型(ざいけい)も重要なポイントです。
漢方薬には煎じて飲む煎剤(せんざい)、エキスや粉末を製剤にした顆粒剤や錠剤などがあり、それぞれメリット・デメリットがありますが、不妊症の改善には、女性は煎剤を飲むのがよいでしょう。
女性が漢方薬を飲んでいくと、基礎体温の乱れが正常化したり、月経不順、月経痛、冷え症に改善が見られたりします。そうするうちに、いつの間にか妊娠するケースをよくみてきました。
私の薬局では、不妊症の相談のご夫婦に対して、まずは女性に漢方薬を飲んでもらうようにしています。 さらに、夫婦そろって、男性にも漢方薬を飲んでもらうともっと妊娠する確率が高まります。なお、男性に不妊の原因がある場合にも、漢方はよい効果が期待できます。
よく使われる漢方薬を紹介しましょう。
【女性の場合】
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 体力は中くらいの、赤ら顔で暑がりの人に
- 加味逍遥散(かみしょうようさん) 足腰が冷え、頭痛、肩凝り、不眠、不安などがある人に
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 不妊の検査をしても異常が認められず、虚弱で血色がすぐれず、冷え症、月経異常、やせ気味の人に
- 温経湯(うんけいとう) 冷え症で、唇の乾燥、手のほてり、のぼせなどがある人に
【男性の場合】
- 八味地黄丸(はちみじおうがん) 泌尿器、生殖器など下半身の機能を強化
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) 虚症の人で、食欲がない、皮膚が乾燥していてつやがない人などに適します
早ければ数カ月以内に妊娠するケースも少なくありませんが、焦らず半年から1年くらいを目安に続けてみましょう。