Q パソコンを使う仕事をしています。画面を凝視していると目がゴロゴロし、数年前から視力も落ちてきました。目薬をさしたりしていますが、あまり改善できません。 (44歳・男性)
A パソコンが普及して、「VDT症候群」と呼ばれる症状を訴える人が増えました。
これは、Visual Display Terminal(パソコンやテレビゲームなどの画面を表示する端末の意)の略で、こうした機器の画面を長く凝視していることで、ドライアイになったり、眼精疲労を引き起こし、いろいろな心身の不調が生じるというものです。
ドライアイとは、涙の蒸発が進む一方、分泌が低下し、眼球の表面が乾いて、目がゴロゴロしたり、傷つきやすくなるものです。
また眼精疲労は、視作業を続けることにより起こり、眼痛、充血、眼がかすむ、まぶしいなどの目の症状のほか、頭痛、肩凝り、吐き気、イライラ、抑うつ症状などの全身症状が出現します。
このように西洋医学で、目と全身の関連性が注目されていますが、それは漢方でも同様です。
漢方での眼精疲労の考え方を見てみますと、目は体表器官の一つで、内臓機能との関係が密接であると考えられています。
目の組織は、血・気・筋・脈・骨肉との関係が深いとされ、漢方薬を処方するときも、臓器の気血をうながし、機能の衰えを回復させることに重点を置きます。
では、具体的な処方の一部を紹介しましょう。
- 葛根湯(かっこんとう)
疲れ目で、目に充血がある場合に用います。口が渇き、おう吐があり、頭痛、目まいなどを伴う場合は五苓散(ごれいさん)が適しています - 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
眼精疲労に対して、柴胡剤の中でも最も代表的な漢方薬の一つです。体力がなく、貧血性で、息切れなどがある場合に用います - 四逆散(しぎゃくさん)
不定愁訴を伴った神経症に適応が多く、胃腸傷害がある人にもよく使われます - 小柴胡湯(しょうさいことう)
ごく普通の体力の人で、食欲不振、肩凝り、疲れなどを伴う場合に適しています - 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
目の症状に加え、手足のけん怠感、言葉に力がなく、食欲がない場合に用います - 三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
緊張を緩和し、血液の流れをよくする作用があります。不安感やいらいら、のぼせなどがあり、便秘の傾向の人に適します
VDT症候群に心当たりがある人は、作業中、まめに目を休ませることが先決です。
そして専門家に相談をして、ご自分に合った漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。