リビング 寿元堂薬局 北山先生の漢方Q&A
子供が繰り返す中耳炎について
Q うちの子は4歳です。中耳炎を繰り返し、慢性化しかけているといわれました。現在は抗生物質を服用中ですが、漢方で体質改善が期待できると聞きました。どんな漢方をどのくらいの期間飲むのでしょうか。 (32歳・女性)
A お子さんの急病、持病は、親の心を痛めるものですね。
中耳炎は、生後間もない赤ちゃんから12歳くらいまでの子供によく見られ、風邪などが引き金となり、鼻の奥にいる細菌が耳管を通って中耳に感染した状態をいいます。
耳が痛んだり、聞こえにくかったり、耳垂れや、熱が出たりしますので、赤ちゃんがしきりに耳に手をやって熱っぽいときは、お医者さんに診てもらってください。
多くの急性中耳炎は抗生物質で治りますが、治りにくいものが症状を繰り返すと慢性化します。そして手術が必要になったり、難聴を引き起こすこともあります。
漢方薬は、西洋医学で難治性の中耳炎の多くによく奏功するので、上手に利用しましょう。
- 葛根湯(かっこんとう)
急性のもので、初期の場合に適しています。頭痛・発熱・悪寒・肩凝りなどがあり、発汗がないという場合に用います。耳垂れやうみのあるときは葛根湯に桔梗(ききょう)や石膏を加えると効果的です - 大柴胡湯(だいさいことう)
慢性の場合の中耳炎に用いる漢方薬で、併病としての鼻炎・副鼻腔炎・扁桃炎・アデノイドなどが考えられる場合にも適しています。このほか、のぼせ、発汗などが症状としてある場合は、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)を、また、急性の耳管狭さくには香蘇散(こうそさん)と合わせると効果的です - 黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)
消化器系の虚弱体質に用い、アデノイドや扁桃炎などの傾向にある場合も適しています。この傾向の症状にはほかに桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)や荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)なども用います - 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
一般的に患部に化膿がある場合に効果的な漢方薬とされています - 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
この漢方薬は、虚弱体質の改善に有効とされるため、風邪から伴う耳鼻咽喉の諸症状に用いられます
漢方薬は、自然治癒力を高めることによって病気を治します。
しかし、治りにくい中耳炎では、しばらく西洋医学の治療や薬と併用すればもよいでしょう。次第に、西洋薬の必要性がなくなっていき、最終的には完治するケースが多いものです。
適切な漢方薬を1カ月も続けて飲めば、効果が分かるでしょう。