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リビング 寿元堂薬局 北山先生の漢方Q&A

おじいちゃんに長生きしてほしい

Q 私はおじいちゃんと一緒に住んでいます。おじいちゃんは優しくて大好きです。でも最近は、腰が痛いとか目が見えにくくなったとよく言っています。おじいちゃんが元気になる薬はありますか。 (13歳・女性)


 新年明けましておめでとうございます。
旧年中は、多くの方からこのコラムに質問や感想を寄せていただきました。漢方への関心が高い一方、まだまだ誤解が多いと感じています。

長い歴史の中で経験を重ねて完成した漢方は、なぜその生薬の組み合わせで体調が良くなるのか、いまだに解明できていません。しかし不思議と効果が現れます。

うまく効果を引き出すためには、品質の高い漢方薬を、たくさんある種類の中から正しく選び、正しく服用することが鉄則です。

さて、今回の質問者は、おじいちゃん思いの女の子からです。

まず、寿元堂薬局にお越しになる高齢者の方の病気・症状で特に多いものを紹介しましょう。

腰痛、坐骨神経痛、膝関節症、手足のしびれ、高血圧症、心臓肥大、狭心症、動悸(き)、不整脈、咳(せき)・痰(たん)、糖尿病、排尿異常、食欲減退、便秘、下痢、胃腸虚弱、肝炎、疲れやすい、白内障、かすみ目…。

どなたも、長く生きていらっしゃると、次第に体のあちこちにガタが現れるようです。

漢方では古くから、「50歳で肝気が衰えて目が見えにくくなり始め、60歳になると心気が衰え始めて憂い悲しんでごろごろ横になりたがる。70歳になると脾気が衰えて皮膚が枯れてシワが多くなり、80歳では肺気が衰えて魄(たましい)が離れるようになって、しばしば言葉の言い間違いをするようになる。90歳にもなると腎気(じんき)が枯渇し、100歳では五臓は空虚になり形骸だけが残り、やがて死亡する」と考えました。

そこで江戸時代の代表的な漢方処方集「古今方彙(い)」には、高齢者の補益(補って元気を付けること)の漢方薬が取り上げられています。

では、現在も高齢者によく使われる漢方薬を見ていきましょう。

  • 八味丸(はちみがん)
    腰から下が弱く、しびれ、腰痛、排尿異常がある場合に。かすみ目にも
  • 鹿茸大補丸(ろくじょうたいほがん)
    体力が衰えて元気がない人に。八味丸でも効果が見られない場合に用いる
  • 牛黄(ごおう)
    鎮静、造血作用があり、心臓の弱い人に。疲れやすい人の強壮剤としても利用
  • 六君子湯(りっくんしとう)
    食が細く、疲れやすく貧血気味の人に。手足が冷えやすい、胃がもたれるという場合にも

正しく服用できれば、2、3カ月もするとその効果が喜ばれます。また、体に合った漢方なら副作用の心配もありません。