Q 小学1年生になったばかりの息子が、早速、急性中耳炎になって、学校を休みました。以前から中耳炎を繰り返す傾向があります。良い漢方薬はありますか。 (33歳・女性)
A 4月から新しい生活をスタートさせた人はたくさんいらっしゃると思います。慣れない環境で、気を使ったり頑張りすぎたりして、体調を崩すことは、子供のみならず、大人でもあることです。体調管理に気をつけたいですね。
さて、急性中耳炎は多くの子供が経験する病気です。細菌やウイルスが鼻の奥から耳管を通って中耳に侵入し、炎症が起き、膿(うみ)がたまるというものです。
だから、風邪をひいたときなどにもよく中耳炎が発症するというわけです。また、中耳炎と併せて、扁桃炎(へんとうえん)やアデノイド、さらに副鼻腔炎などが起こることもあります。
西洋医学においては、抗生物質の投与や手術などの治療が行われます。
しかし、いったん治っても再発を繰り返す場合、漢方薬を用いてみると、しばしば著効を見ることがあります。同時に、風邪をひきやすい体質も改善されることが多いものです。
それでは代表的な漢方薬を見ていきましょう。
- 葛根湯(かっこんとう)
初期の場合に適しています。頭痛・発熱・悪寒・肩こりなどがあり、発汗がないという場合に用います。耳だれや膿があるときは、葛根湯に桔梗(ききょう)や石膏を加えると効果的です - 黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)
消化器系の虚弱な体質に用い、アデノイドや扁桃炎などの傾向にある場合にも適しています。この傾向の症状には、ほかに桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)なども用います - 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
一般的に患部に化膿がある場合に効果的な漢方薬とされています - 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
虚弱体質の改善に有効とされるため、風邪に伴う耳鼻咽喉の諸症状に用いられます - 大柴胡湯(だいさいことう)
この漢方薬は慢性の中耳炎に用いることが多く、併病としての鼻炎・副鼻腔炎・扁桃炎・アデノイドなどが考えられる場合にも適しています。
このほか、のぼせ、発汗などが症状としてある場合は柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)や柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)を、また、急性の耳管狭窄(じかんきょうさく)には香蘇散(こうそさん)と合わせると効果的です。
子供でも、慣れれば、苦い漢方薬を次第に「おいしい」「好き」と言うケースはわりとあります。一度試してみてはいかがでしょうか。