娘がてんかんです
Q 中学生の娘は、てんかんの疾患を持っています。普段は元気にクラブ活動をこなしているのですが、先日、部活内で発作を起こし、先生や仲間の介助を受けたようです。てんかんの症状が和らぐ方法を探しているのですが。 (42歳・女性)
A てんかんとは、大脳の神経細胞が電気的に乱れることによって生じるもので、突然倒れ、意識を失ったり、泡をふいたり、痙攣(けいれん)したりという発作を起こし、数分から数十分間で回復するのが一般的です。
その原因は、生まれたときの仮死状態や低酸素、脳外傷、脳腫瘍、脳炎などのほか、不明のケースも多々あります。
てんかん発作そのものによって命が危ぶまれることはほとんどありませんが、てんかん発作による転倒、意識不明によってケガをしたり、ときには火傷を負うなどの事故を起こし、命を落とす人も中にはいます。
西洋医学の現場でも、治療は薬物療法によるもので、その効果は発作の鎮静と予防に主眼が置かれています。ところが、てんかんの場合、長期にわたる服用が必要なことから、薬の副作用が問題になってきます。肝機能低下、脱毛などの恐れがあります。
さて、漢方の世界でも、古くからてんかんについての記述が見られ、漢方の古典「金匱要略」にも「痙病」として登場します。また別の書物には、皇帝から、てんかんの原因を聞かれた者が、「母の胎内にいたとき、母親が大いに驚き、胎児の気が頭に上ったため生じる病気」と答えた話もあります。
漢方では、てんかん患者を、肝虚証(肝が弱いタイプ)と、肺虚肝実証(肺が弱く、肝が強いタイプ)があると捉える場合もあります。
それでは、実際の漢方処方を見ていきましょう。
- 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
のぼせて汗をかきやすく、食欲不振、肩こり、便秘があり、腹直筋上半部の緊張がある人に - 柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
しっかりした体格で、神経質、不眠、便秘傾向の人に - 抑肝散(よくかんさん)
不機嫌で神経過敏、興奮しやすく、不眠があり、肝気の高ぶった症状の人に - 葛根湯(かっこんとう)
口を硬く結んで、強いけいれん発作を起こす人に - 五苓散(ごれいさん)
よだれや泡を吐く水毒タイプのてんかんに
体質と症状を見極めて、漢方薬を選ぶことが大切です。
また、漢方薬は副作用の心配も少なく、西洋薬と併用して服用することも可能です。詳しくは、経験豊富な漢方薬の専門家にお尋ねください。