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ホーム掲載記事リビング寿元堂薬局 北山先生の漢方Q&A

Q 中学生の娘は月経不順で、月経が2カ月に1回くらいのペースで来ることがよくあります。また、あっても月経の量が少ないようです。将来のことを思えば、少し不安です。 (38歳・女性)


 月経に関する症状には、実にさまざまなものがあります。

成熟した女性に月経が来ない「無月経」、月経周期が短く24日以内の場合を「頻発月経」、月経周期が長く39日以上の場合を「稀発月経」、月経の血量が少ない「過少月経」、多い「過多月経」、月経の3日前~10日前ごろに肉体的、精神的症状がある「月経前症候群」、月経の間、下腹部痛や腰痛などに襲われる「月経困難症」─。

いずれも、重大な病気が隠れているかもしれませんので、まずは原因を調べてみることが大切です。

器質的な疾患が見つからず、原因が特定できないなら、それは漢方薬が得意とするところです。女性特有の疾患に、漢方薬は、実に高い効果を発揮します。

漢方では、月経を整えることを、調経といいます。

漢方の古典「牛山活套」には、「婦人の諸病の起こりは、月経の不調による」とあり、月経を正常な状態にしておくことが病気の予防につながると説いています。

月経異常でよく使われる代表的な漢方薬が、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)です。

これまた漢方の古典「金匱要略」に、当帰芍薬散について「婦人が妊娠しておなかが強く痛むものによい」とか「婦人のいろいろな腹痛によい」とあります。

元は、女性の腰痛を治す薬でしたが、現在は月経不順の改善によく使われます。

当帰芍薬散は、当帰、芍薬、川芎(せんきゅう)、茯苓(ぶくりょう)、白朮(びゃくじゅつ)、沢瀉(たくしゃ)の6種類の生薬から成っていて、当帰と川芎が体を温めて瘀血を取り、鎮痛作用のある芍薬との組み合わせで腹痛を治し、茯苓、白朮、沢瀉で水毒を解消します。

そのほかにも、さまざまな漢方薬がありますので、見ていきましょう。

  • 当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう)
    手足の冷えが強く寒さを感じやすい人に
  • 温経湯(うんけいとう)
    手足がほてる人に
  • 加味逍遥散(かみしょうようさん)
    疲れやすく虚弱、不安のある人に
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
    のぼせ、肩こりがある人に

そのほか、十全大補湯、帰脾湯、補中益気湯、桃核承気湯などを使うことがあります。

たいていは3カ月も服用すれば、良い結果が得られます。月経困難症で市販の鎮痛剤を服用する人も多いですが、その場しのぎの薬でなく、漢方薬で根本治療をしてもらいたいものです。