非結核性抗酸菌症に使われる漢方
西洋医学では治療が難しく、患者数が増加。漢方が奏功するケースも多いので試す価値あり
非結核性抗酸菌症という病気をご存じでしょうか。
この病気は結核菌の仲間の抗酸菌によって引き起こされ、多くが肺に感染します。
日本ではMAC(マイコバクテリウム・アビウムイントラセルラーレ・コンプレックス)菌に起因するものが多く、8割を占めています。
肺に感染した場合は、症状が結核に似ているため以前は肺結核と混同されていた病気ですが、今では結核と区別され、「非定形抗酸菌症」ともいわれます。
結核と非結核性抗酸菌症の大きな違いは、人から人へ感染せず、病気の進行が緩やかである点です。しかし、抗菌薬による効果が期待しにくい病気であるため、油断はできません。
また、治療の開始や終了時期などに明確に定まった基準がなく、治療が難しい病気とされています。
日常生活に支障がないことや、痰の中に菌が発見されない場合も少なくありませんが、症状が進むと結核同様に肺に病変が起きてきます。
咳、血痰(たん)、喀血(かっけつ)、全身倦怠(けんたい)感などの症状が現れます。
現在、結核病患者は減少している一方で、非結核性抗酸菌症の患者は増えているといわれています。
その背景には、病気の認知度が向上したこと、検査・診断の精度が向上したことなどが考えられますが、明確な理由は分かっていません。
確実に有効な治療がないため、患者数は増えており、重症者も多くなっているのが現状です。
今回は、非結核性抗酸菌症に用いられる漢方薬を紹介しましょう。
強い咳の出るものによく使われるのは、麦門冬湯(ばくもんどうとう)という薬です。痰が切れにくく、顔を赤くして咳き込むような人に適することが多い薬です。
また、初期で症状があまりなく、倦怠感があり、食欲がないという程度の人には小柴胡湯(しょうさいことう)が適することがあります。
柴胡湯が適する人より病状が進み、血色が悪く、動悸(どうき)や息切れがあるような人には柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)が用いられることがあります。
さらに病状が慢性化し、気力がなく、だるくて疲れやすいような人には、気力・体力を補う補中益気湯(ほちゅうえっきとう)が適することが多いでしょう。
病気の性質上、時間がかかることが多いですが、非結核性抗酸菌症に漢方が奏功するケースは多くあります。
再発もある病気ですから、自分に適するものを上手に利用しましょう。