Q 冬になると風邪を引いているわけでもないのに体調が悪くなります。新聞などで冬バテという言葉を目にしましたが、それでしょうか。 (49歳・女性)
A 年末のこの時期は、仕事の忙しさに加えて忘年会やクリスマス、大掃除などで疲れがたまるため〝冬バテ〟という言葉も出てくるのでしょう。
冬に向かっていく時期は、朝晩と日中の気温差が激しくなり、自律神経が乱れます。また、寒さで交感神経が優位になり、血管が収縮して血流が悪化することなどが冬の体調悪化に影響するようです。
しっかり体を温め、ぬるめのお風呂でリラックスしましょう。冷え対策をしておくことも体調を整えることにつながります。
冷えにまつわる話を2つ紹介します。
一つは、日常的に体が冷えていた女性。漢方薬を飲んで体から冷えが取れると、寒いときに冷えを感じるようになったと言います。それまでは冷えが当たり前だったため、冷えを感じていなかったのです。
もう一つは、冷えではなく、生理痛など別の症状や病気を治すために漢方薬を飲んだ女性たちの声。漢方薬を飲んでそれらの症状が改善されると同時に、良い意味の副作用として冷え症もなくなったという人が結構いるのです。
これは、女性の不都合な症状や病気が、冷えと密接に関連していることを物語っています。
冷えの影響で肩凝りがしたり、頭痛がしたり、膝の痛みが悪化したり、生理痛や不妊症の要因になっていることもあります。
昔から漢方では冷えが病気に影響することが分かっていたので、冷えを重視してきました。当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、人参(にんじん)など体を温める生薬(しょうやく)を配合した漢方薬がよく使われます。冷えによく使われる主な漢方薬を挙げてみましょう。
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 冷え症で疲れやすく、貧血傾向のあるような人に。貧血、冷え症で疲れやすく、頭重、めまい、肩凝り、月経不順がある人に。
- 当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう)・当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう) しもやけの薬としてとても有名。平素から手足が冷え、夏でもソックスを履いて寝るような人、手足など末端が冷えていて、湯たんぽや電気毛布がないと眠れないという人に…。当帰四逆湯で効きにくい人は当帰四逆加呉茱萸生姜湯を。
- 温経湯(うんけいとう) 生理痛、生理不順、月経過多がある冷え症の人に。
- 真武湯(しんぶとう) とことん冷えている人にはこの薬。やせ型で体力のあまりないような人、下痢や腹痛をよく起こすような人にも。
- 加味逍遥散(かみしょうようさん) 月経不順のある人、肩凝りや頭痛、イライラなどの精神不安のある場合にも…。