Q 日に日に寒くなってきました。冬は、主婦湿疹に悩まされる私にとって、つらい季節です。今年はひどくなる前に、漢方薬を飲んでみようかと思うのですが…。 (50歳・女性)
A 主婦湿疹とは、水仕事を繰り返すことで手や指にできる湿疹のことです。年を取ると皮脂が少なくなる上、濡れたまま放置しているとますます手の水分や油分が失われ、次第に角質層が壊されていきます。
そこに洗剤や、刺激の強い野菜などを触れると、湿疹が悪化するという悪循環を繰り返すのです。
症状としては、カサカサして、かゆみ、水疱を伴い、ひどくなると指紋がなくなり、出血することもあります。
漢方では、主婦湿疹も体質のアンバランスが表面上に現われたものと考えますから、軟膏(なんこう)などの外用薬よりも内服薬を重視します。
よく使用される処方に「加味逍遥散(かみしょうようさん)」があります。
これは、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、柴胡(さいこ)、甘草(かんぞう)、牡丹皮(ぼたんぴ)、山梔子(さんしし)、生姜(しょうきょう)、薄荷葉(はっかよう)という10種類の薬草からなる処方です。
当帰と芍薬は鎮痛・解熱・血圧降下作用があり、白朮、茯苓は利尿・血糖降下、柴胡は中枢抑制作用があり、肝臓障害改善に効果的です。
甘草、牡丹皮は鎮痛・鎮咳・鎮痙作用に優れ、山梔子は胃液分泌抑制や利胆作用が、生姜は解熱・鎮痛、薄荷葉は末梢血管拡張作用があります。
加味逍遥散は、一般的には虚弱体質の女性で、疲れやすく、頭痛や肩凝りがよく起こり、午前中は貧血気味なのに午後になるとのぼせ気味になるような人。
また微熱があったり、種々の不定愁訴があり、気分の変動の多いタイプの人に使います。
したがって、月経障害、月経不順、更年期障害などに用いられる漢方薬として有名ですが、主婦湿疹にも効果的です。
また加味逍遥散に川芎(せんきゅう)と地黄(じおう)を加えた「加味逍遥散合四物湯(かみしょうようさんごうしもつとう)」も、湿疹、特に乾燥性でかゆみの激しい慢性の場合に効果的です。
手足の冷えが強い人には、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)を用いることがあります。
これら以外にも主婦湿疹に用いられる漢方処方がありますが、体の状態によく合うものを服用すれば、思いがけず早く改善されることがあるものです。
寒さがつらくなる前に少しでも対処しておくとよいでしょう。