Q 数年前からこの時季、花粉症の症状に悩まされます。症状が少しずつひどくなっているような気がします。漢方薬が効くでしょうか。 (38歳・女性)
A 花粉症は花粉が原因となる季節性のアレルギー性鼻炎です。花粉の飛散に伴って、2月後半から3月ごろになると症状が出始めます。
1970年代から急激に増え、現在は日本人の25 %が花粉症だといわれるほどポピュラーな病気の一つになりました。スギ花粉症が有名ですが、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサなど、多くの花粉がアレルギーの原因になります。
主な症状は、鼻の3大症状といわれる、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどですが、目のかゆみや充血などの症状が出ることも少なくありません。
花粉症に限らずアレルギーの病気に対して、現在の西洋医学では、症状を抑える薬が主流であり、治すための決め手はないようです。
では漢方薬はどうでしょうか。
西洋医学とは異なる医学である漢方には、花粉症という病名はありません。鼻水は鼻鼽(びきゅう)、くしゃみは噴嚔(ふんてい)などといい、それぞれの症状と体質に合わせてさまざまな薬が工夫されてきたのです。
また、漢方薬の効果を科学的に解明することはまだまだ難しいのですが、適切な漢方薬を飲み続けるとアレルギーの症状が出なくなってしまうことは、多くの漢方家が実感しています。
アレルギーの改善を目的とする漢方薬ですが、一時抑えの効果は西洋薬ほど強くないことが多いものです。症状の激しい場合は西洋薬と漢方薬をしばらく併用すると良いでしょう。
体質が改善されるに従って、まずは西洋薬が不要になり、そして漢方薬を飲まなくても症状が出なくなれば、アレルギーの体質が改善されたということです。
花粉症によく使われる代表的な漢方薬の一部を紹介します。実際には多くの処方の中から、適切なものを選ぶことが大切です。
- 小青竜湯(しょうせいりゅうとう) 水のように薄い多量の鼻水とくしゃみを連発する症状に使います。体力は中等度かやや弱い体質の人に適します。
- 葛根湯(かっこんとう) くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどがあり、肩凝りが強い状態の人に使います。虚弱傾向の少ない丈夫な人に適することが多い薬です。
- 麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう) 顔色が悪く、手足が冷え、新陳代謝が低下して体力が弱っている人で、薄い水のような鼻水や鼻づまりがあるときに適します。
- 麦門冬湯(ばくもんどうとう) のどの乾燥感や声枯れがある人に適します。
- 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう) 花粉症の目のやかゆみなど、アレルギー性の皮膚の症状に使われます。