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さりお 寿元堂薬局のここが知りたい漢方

漢方薬と自然治癒力

漢方薬の効き方には2つの作用があります。
一つは一時的な症状緩和、もう一つは自然治癒力を高めて病気を治す作用


私たちは軽い病気やケガをした時に、特に手当てをしなくてもいつの間にか良くなります。「自然治癒力」という「身体の異常を治す力」が備わっているからです。

昔は病気になると、床に伏して養生していました。そうすれば、回復が早いことが経験によって分かっていたからです。

しかし、現在は皆忙しく早めの養生ができず無理をする人が多いようです。
ハードな生活で体力が落ちると自然治癒力も弱くなります。自然治癒力が病気の力に負けると、悪化したり、治りが悪くなることが増えたりするので注意が必要です。

現在の主流医学は西洋医学です。風邪にかかった時に、西洋医学では高熱には解熱剤、咳には咳止めの薬、鼻水には鼻水を止める薬などを飲みます。
一時抑えの作用が強力な西洋薬を飲めば、それなりに症状が治まるので、「薬の力だけで病気が治る」と思っている人は少なくありません。

しかし、そこには症状が軽くなっている間に、自然治癒力が働いて風邪が治っているという背景があります。
西洋薬がないと抑えきれない病気は別として、風邪のような軽い病気の場合は、病気の力よりも自然治癒力の働きが強いので、薬を飲んでも飲まなくても病気は治っていくのです。

では、漢方薬と自然治癒力の関係はどうでしょうか。

漢方薬の作用の仕方は複雑で解明されていないため科学的根拠は分かりません。
しかし、漢方薬の効き方をみていると、一つの漢方薬には2つの作用があると考えれば分かりやすいでしょう。

一つは、「西洋薬と同じような一時抑えの作用」です。

「漢方薬は効くまでに時間がかかる」と誤解されていることは多くありますが、昔から鎮痛薬を頓服で服用する感覚で使用される即効性がある漢方薬もあります。
また、症状によっては、1~2週間以内に効果が表れることが少なくないので、漢方薬の一時抑えの作用も無視できません。

そして、二つ目は「自然治癒力を高めて病気を治す作用」です。

これは西洋薬にない漢方薬の特徴だといってもよいでしょう。この漢方薬の「自然治癒力を高めて病気を治す作用」は、大変優れたものです。しかし、もともと治りにくい病気で漢方薬を利用するケースでは、ある程度の時間が必要になるのです。

西洋薬で治りにくい病気の中に、漢方薬がよく効くものがたくさんあるのは「効き方の違い」があるからでしょう。

西洋薬と漢方薬の特徴を知って、それぞれを上手に利用しましょう。